君をひたすら傷つけて
 私の願いは高取くんに愛されたいというただ一つのことだった。お兄さんに言われたとおりに先の無い恋かもしれないけど、それで思いを止められるほどオトナでもなかった。それでボロボロになるまで傷つくならそれでいい。私はそう思った。

 私をひたすら傷つけてくれても構わない。傷つけば傷つくほど私の心に高取くんが刻まれる。その一つ一つの傷が高取くんから私への愛になる。


「愛することで私を傷つけるならボロボロになるまで傷つけて」


「こんなに藤堂さんのことを大事に思っているのにそんな苦しいことを僕に望むの?残酷だね。本当に君は。僕が最後の最後には藤堂さんを拒めないのを知っていてするなんて狡いな」

「本気で拒むなら諦める。でも、そうでないなら引けないの」

「僕の本当の気持ち?そんな言い方ズルいよ」


 愛しているからこそ傷つくこともある。それを分かっていながら落ちてしまうのが恋だし、私は逃げれないところまで来てしまった。


「ズルいと言われても引けない。好きだから引けないし、私は我が儘なの。だから、私に高取くんの残りの時間の全てをちょうだい」

「我が儘だよ。でも、愛しい」


 高取くんは私の言葉を聞きながら涙を流していた。その涙を見ながら私は愛されていると感じた。私と同じように思ってくれていると感じた。


「名前で呼んで。雅って呼んで」
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