君をひたすら傷つけて
 私が婚姻届けにサインをした次の日、慎哉さんはリズに挨拶に行き、慎哉さんと私の婚姻届の証人欄にサインをして貰えるように頼んだ。エマの事務所の会議室で、リズは目の前に出された婚姻届を見つめ、慎哉さんのことを見つめた。一瞬、泣きそうな表情を浮かべ、唇を噛むと、ニッコリと笑った。

「私でいいのですか?ご両親とかでなくて」

「はい。リズさんにお願いしたいと思ってまいりました。私と雅の結婚の証人になってください。よろしくお願いします」

 リズは私が一番苦しかった頃から、私のことをずっと守ってきてくれた。友達であり、スタイリストとしての師匠でもあるリズは今何を思うのだろう。去来する思いが表情に現れていた。パリに行った時、毎日が楽しかった。

 そして、今の仕事に通じるファッション業界で働く道筋をくれた人。

「おめでとうございます。喜んでサインさせていただきます」

 慎哉さんと私が頭を下げると、リズはサラサラと名前を書き込んだ。そして、押印した。押印が終わると、リズは静かに慎哉さんの方を見つめ、真剣な表情を向け、婚姻届を差し出した。綺麗な文字でリズのサインがあり、私と慎哉さんの結婚を認めてくれるサインが一つ埋まった。

「雅と一緒に幸せになってください」

 リズの言葉に私は涙が出そうになった。この頃、涙腺が緩んでいるのかもしれないと思うくらいに涙が零れる。

「ありがとうございます。二人で一緒に頑張っていきます」

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