君をひたすら傷つけて
 今日の試験が一番最後だから私の受験生活は終わり。後は結果を待つだけの状態だった。滑り止めに受けている大学もあるけど、今日受けた第一志望の大学に入学したいと思っている。そんなことを考えていると、車は急に止まった。病院まではまだ時間が掛かるはずなのに車が止ったのは病院でなく閑静な住宅街の一軒の家の前だった。


「ここはどこですか?」


「自宅だよ。義哉はここにいるよ」


 私の受験が終わってから義哉は病院から一時的に外泊の許可を取っていた。そのことをお兄さんは知っているのだろうかとは思う。義哉が外泊を言い出した時にどう思っただろう。

 前に私が義哉の一番傍に行きたくて、抱かれたいと言った時に拒否されてこともお兄さんは知っている。まだどこに行くかは決めてないけど、明日から少し暇になるので義哉と二人で一緒に決めるつもりだった。お母さんにはさやかの家に泊まると言うつもりだし、その件に関してはさやかにもお願いしている。

 義哉の家は閑静な住宅街の一角にあった。

 門扉から玄関先まで煉瓦が敷き詰められてあり、その先には木製のドアがあった。家の外壁は真っ白でどこか西洋の面差しを持っていた。義哉の家は初めて来たけど、私が思っていたよりもかなり大きかった。閑静な住宅街でも一際豪華さを誇る。足を踏み入れるのに躊躇してしまいそうになるくらいだった。


 玄関を入ると二階に続く天井が高く吹き抜けになっていて、天井で空気を撹拌するファンが緩やかに回っていた。
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