君をひたすら傷つけて

手紙

「病院のベッドの横の棚に家族に宛てた手紙と一緒に藤堂さん宛のも入っていたんだ。貰ってやってくれるかな?藤堂さんのこれからを考えると渡すか渡さないか迷ったけど、義哉の最後の気持ちだから届けることにした」


 私は震える手でその手紙を受け取るとキュッと胸に抱きしめた。ここには義哉の思いが込められている。


「ありがとうございます。この中にどんなことが書かれていたとしても私は大丈夫です。義哉の手紙をありがとうございました」


「こちらこそ、義哉のことをありがとうございました。兄として本当に感謝しています。それでは気を付けてください」


「はい。ありがとうございます。」


 私はお兄さんと別れて、真っ直ぐに家に帰る気にならず、私はそのまま葬儀場の近くの公園に行くと空いているベンチに座り、淡い水色の封筒を開けた。家で空けようかと思ったけど、止めたのは誰にも邪魔されずに読みたかったから。


 封筒から出てきたのは何枚もの便箋に綴られた義哉の心だった。
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