君をひたすら傷つけて

言葉の意味

 お兄ちゃんの言い分もよく分かる。私のことを思ってくれているのに突き放されたような気がした。私の中でのお兄ちゃんへの依存が強まっている証拠かもしれない。義哉を失ってから私は自分の足元が今もまだ揺れている。お兄ちゃんにはお兄ちゃんの人生があるのにいつまでの私の心配をさせてはいけないとも思う。


「分かった。じゃあ、前に誘われていたサークルに入ってみる。それならいいでしょ。季節を通して色々なスポーツをするようなサークルだったと思う。同じ講義を取っている友達から誘われたのをそのままにしているから」

「大学で出来た友達が誘ってくれたのか?」

「ううん。高校の時の友達なの。一年の時に同じクラスだったけど、その後は全然。大学で同じ講義を取っていて、再会したって感じかな」


「そうか。でも、高校の時の友達がいるなら安心だね。それと新しい友達が出来るといいな」

 
 そんなお兄ちゃんの言葉に頷きながらも半分は自棄だった。サークルに入って新しい友達と出会うことはお兄ちゃんの言うとおり大事かもしれない。でも、気持ちの乗らないものに入らないといけないのだろうか。もしかしたらこのサークルに入るというきっかけが『お兄ちゃんからの卒業』が出来るかもしれないと思う。


 このままじゃ、お兄ちゃんから卒業出来ずに依存から抜け出せなくなりそうで怖かった。お兄ちゃんはきっと私を義哉の代わりにしていて、私もお兄ちゃんを義哉の代わりにしている。


 まだ、一年しか経ってない。
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