君をひたすら傷つけて
車ではなくタクシーに乗せられて連れて行かれた場所は今まで行ったことのない様な料亭だった。その門を目の前にして店の格を感じさせる佇まいに身体が強張った。引き戸を開けて入った途端に木の香りが鼻腔を擽り、しっとりとした静かな空間がそこには広がっている。日本庭園に向かうような広々とした空間に飛び石があり、その先には藍に染めた暖簾があった。
「ここなの?」
「ああ。雅が気に入るといいが」
「なんか私が場違いって気がしない?」
「そんなことないよ」
暖簾を潜った先には淡い浅黄色の着物を着た女性が畳の上に座っていた。
「予約していた高取です」
「お待ちしてました。こちらにどうぞ。履物はそのままにされておいてください」
今まで仕事の接待で使うということで色々な店にお兄ちゃんと食事に行ったことはある。でも、今までとは違うと感じていた。通された部屋も綺麗な花が活けられているような落ち着いた雰囲気でフカフカの座布団に座りながらも緊張していた。
お兄ちゃんはというと、私とは逆でこの場にも動じず、ただいつもの通りに渡されたおしぼりで手を拭いていた。飲み物を頼んで、着物を着ていた女性が部屋を出ていくと、私は大きく息を吐いたのだった。
「緊張する。こんなに素敵な店ならもっと可愛い格好をしてくればよかった」
「そうか?今まで行った店とそんなに変わらないだろう。それに雅の服も清楚でいいと思うが」
そうはいうけど、緊張の度合いがいつもと違う。私は身体が強張ったままお兄ちゃんの前に座っていた。
「ここなの?」
「ああ。雅が気に入るといいが」
「なんか私が場違いって気がしない?」
「そんなことないよ」
暖簾を潜った先には淡い浅黄色の着物を着た女性が畳の上に座っていた。
「予約していた高取です」
「お待ちしてました。こちらにどうぞ。履物はそのままにされておいてください」
今まで仕事の接待で使うということで色々な店にお兄ちゃんと食事に行ったことはある。でも、今までとは違うと感じていた。通された部屋も綺麗な花が活けられているような落ち着いた雰囲気でフカフカの座布団に座りながらも緊張していた。
お兄ちゃんはというと、私とは逆でこの場にも動じず、ただいつもの通りに渡されたおしぼりで手を拭いていた。飲み物を頼んで、着物を着ていた女性が部屋を出ていくと、私は大きく息を吐いたのだった。
「緊張する。こんなに素敵な店ならもっと可愛い格好をしてくればよかった」
「そうか?今まで行った店とそんなに変わらないだろう。それに雅の服も清楚でいいと思うが」
そうはいうけど、緊張の度合いがいつもと違う。私は身体が強張ったままお兄ちゃんの前に座っていた。