君をひたすら傷つけて
 見た目から学生ではないと思っていたけど、プロのスタイリストとは思わなかった。華美なものは着てないのに洗練されて見える。目を惹くけど派手とは違う。質がいいのは分かるけど、それだけではないのがリズさんのスタイリストとしての実力なのだろう。

「私もそろそろ寝ようかしら。明日も仕事だし。雅も日本からフランスまで飛行機の中で疲れたでしょ。そろそろ寝る?」

「そうですね。荷物の整理もあるし」

「荷物の整理は少し経って、まりえが体調不良から復活したら手伝ってくれるわ。それまでは必要なものだけ取り出して使えばいいわ」

「はー」

「まりえの家事能力は中々のものよ。期待していて。で、雅とは一緒に暮らすに当たって大事な話があるんだけど少しだけいい?」

 改まって、リズさんが真剣な顔を見せた。それはあまりにも真剣で私は息を呑んでしまった。何を言われるんだろう。そう思うとドキドキする。

「はい」

「雅。驚かないで聞いてね。実は私…男なの」
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