君をひたすら傷つけて
 一緒に住む人がどんな人なのかという心配もあったけど、それも今となっては心配事でもなんでもない。まりえさんとリズさんと一緒ならフランスでの生活も楽しくなる。次第に時間が過ぎていき、時差もあり、眠気が襲ってきた。でも、私の歓迎会なのに部屋に帰りたいとは言えなかった。そんな私の様子に気付いたのはまりえさんだった。

「さあ、そろそろ私は少し寝るわ。雅も寝た方がいいわよ。日本からで疲れているでしょ。じゃあ、お先に。後はよろしくね。一応まだ体調も悪いのよ」

 私とリズさんにニッコリと微笑みを残してから、私とリズさんを置いてからあっさりと自分の部屋に入ってしまったのだった。リビングに残された私がリズさんの方を見るとリズさんはクスクス笑いだした。

「まりえっていい女でしょ。まりえと一緒に住める私はラッキーだし、きっと雅もラッキーだと思うと思うわ」

「リズさんはまりえさんが好きなんですね」

「仕事柄色々な人に出会ってきたけど、その中でもまりえは特別」

「仕事ってなんですか?」

「スタイリストをしているのよ。ファッションショーのスタッフとしてデザイナーのアシスタントをしたりヘヤメイクとかもしているの。日本で言ったらファッション関係の何でも屋かな」

「働いているのですか?」

「雅の言っている働いているっていうのは会社に入ってって感じ?」

「はい」

「それで言うと違うわ。私は一人で仕事をしているの。マネージメントも勿論自分でしている」
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