君をひたすら傷つけて
 私はリズさんの言葉を聞きながら、リズさんが誠実な人だと思った。シェアルームと言っても個人の部屋があり、共同部分を一緒に使うと言うだけ。大学が一緒であっても一緒に動く必要もない。

 共同生活だけどプライベートなことを話す必要はないと思う。リズさんがこの大胆な告白をしてなかったら私は全く気付かないまま時間を過ごしたと思う。それなのに私に言うのはリズさんの誠実な心からだと思った。そして、私と一緒に過ごすことを大事に思ってくれているとも。


「不都合はないです。これからもよろしくお願いします。私の方こそ、ファッションとかでお化粧とか教えて貰いたいくらいです」


 私がそう言うとリズさんは少しホッとしたような表情を見せた。そんな表情を見ながら、今迄、色々と辛い思いをしてきたのではないかと思う。リズさんが男ということを聞いて正直驚いた。だからと言って、ここから出て他のルームシェアを探す気にはならなかった。リズさんもまりえさんも素敵な人で私はここで一緒に生活を始めたいと思う。というか、既に始まっている。

「こちらこそよろしく。嫌になったらハッキリ言ってね。我慢されるくらいならハッキリ言ってくれる方がいいから」

「大丈夫です」

「そんなこと先になったら分からないでしょ」

 こんなに素敵なリズさんの事を嫌になることなんかないだろう。でも、先のことは分からないから私はリズさんの言葉に頷いたのだった
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