君をひたすら傷つけて
 ベッドに入ると疲れが一気に身体を覆いつくし、リズが帰ってくるまで待ちたいと思う気持ちと疲れが交差していつしか私は眠りの淵を危うく歩いていた。でも、フッと気を抜いた瞬間。意識は深みに落ちて行った。次に記憶が呼び起された時は部屋のドアの向こうにあるリビングからリズとまりえの声が聞こえていた。


 まりえはともかくリズはもう起きているのだろうか?私が思うにずっと遅い時間に帰ってきているはずなのに、もう起きている。ベッドから身体を起こし、着替えもしないままにリビングに行くとリズとまりえが楽しそうに笑いながら話をしていた。急に開いたドアにまりえは一瞬目を開いたように見えたけど、私を見つめてニッコリと笑っている。

「おはよう。雅。コーヒー飲む?それとも先に食事にする?スープもあるのよ」


 そう言ったのはまりえで私のカップを取りに行こうと身体は既にキッチンに向かって動きだしている。そんなまりえを見ながらリズはまたニッコリと笑う。

「とりあえず顔を洗ってきたら?その間にまりえがご飯を用意してくれるわよ。勿論、着替えもね」

 そう言ったのはリズで昨日の仕事の場で見せた真剣で緊張感漲る姿はなく、いつものリズがそこにはいる。

「そうする。急いで準備する」

「慌てないでいいわよ」

 そんな二人の笑い声を背中に受けながら自分の部屋に入り、パジャマを脱ぎ捨てた。


 私がバタバタと準備をしてリビングに行くとテーブルには私のカップが置いてあり、そこには私の好きなカフェオレが淹れてあった。いつもの朝の始まりだった。
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