君をひたすら傷つけて
「さ、もう寝ましょ。リズが帰ってくるのは明日の朝か昼だし、リズのご要望のスープはもう出来ているの。だから、雅も寝ましょ」

「リズのスープはもう出来ているの?」

「一緒に居る時間が長いと相手が何を望んでいるのか分かるのよ。雅も自分のしたいことが出来たらいいわね」

 そう言ってまりえはニッコリと笑った。

 私の留学期間は一年。まりえとリズと一緒に住みだして既に三か月が過ぎている。毎日が楽しくて充実している毎日は楽しいからこそあっという間に過ぎてしまう。留学終了の時、私は日本に帰国し、その後に何をするのだろう。大学に戻って普通の大学生同じように就職活動をしてという、そんな未来があまりにも漠然としすぎている。

「私も何も決まってない」

「それでいいと思う。人生は長いんだもの。でも、今日はもう遅いから寝ましょ。どうせリズは帰って来ないから。話は明日にしましょ。じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみなさい。まりえ。待っててくれてありがと」

「一緒に住んでいるんですもの。当たり前よ」


 まりえはゆっくりとソファから立ち上がると微笑みを浮かべる。そして、優しい微笑みを残したまま自分の部屋に消えて行った。私も寝ようかと思ったけどコレクションの熱気から身体は疲れているのに神経が昂ぶって中々寝付けない。

 自分のベッドに入ってはみたけど華やかな熱気が忘れられなかった。
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