君をひたすら傷つけて
 リズと私を乗せた車はゆっくりとコレクションの打ち上げが行われる会場に入っていく。街中のホテルではなくどこか郊外の屋敷を借りてのパーティで私の想像を遥かに超えていた。たくさんの人で中庭にも玄関先にもたくさんの人がいる。

「凄い綺麗なところですね」

「昔の貴族の城がそのまま今はシャトーになっているのもここでは珍しくないの。敷地内には庭園があったりするから、宿泊施設だけでなく、このようなパーティに使われることも多いわ。日本でもホテルの広間でパーティをすることがあるでしょ。それとそんなに変わらないわ」

 日本のホテルでのパーティも経験がないのに、こんな貴族の城でのパーティに足は竦む。リズの技術による武装がなければきっと車から降りることすら出来なかったかもしれない。

「そんなに緊張しなくても大丈夫。私がいるでしょ」

「そんなの無理」

「大事なことは相手の話を聞くこと。じゃあ、行くわよ。こんなに綺麗な女が二人エスコートなしというのも寂しいけど仕方ないわね」
 
 そう言ってリズはニッコリと笑った。

 荘厳なアールヌーボー調の門を潜り抜けるとそこには異世界が広がっていた。

 漆黒のタキシードを着た男の人と綺麗なドレスを着た女の人が楽しそうに話しをしている。そのたくさんの人の合間を銀色のトレーを持ったボーイがスマートな物腰で動いていた。ボーイさんの持っている銀のトレーからワインを二つ取ると一つのグラスを私に渡した。

「さあ、これからが勝負ね。私と雅の」
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