君をひたすら傷つけて
「自分の思った通りの言葉を言っただけ。そんなことはいいから、もう少しワインを飲まないか?今日のパーティはかなりいいワインが揃っている。飲まないと損だよ」

「損って」

「だって損だろ。普段の自分では飲めないランクのワインが並んでいる。こういう機会に楽しまないと」

「面白いですね」

「そう。俺は普通だよ。モデルだけど、中身はその辺りの普通の男と何も変わらない。日焼け以外は普通と一緒」

 そう言ってアルベール・シュヴァリエはニッコリと笑った。彼は私が想像していたよりも陽気な人だった。モデルという華やかな仕事をしているものの、かといって、彼の生活が華やかなわけではない。

「そうなの?」

「ワインが好きで、休みの日はフラッと街に出て楽しんでいるよ。コレクションに出るけど、決まったブランドだけを使うこともないし、気に入ったものなら何でもいいと思っている」

「今度一緒に出掛けてみたら分かるよ。結構可愛い雑貨や服の店も知っているから一緒に出掛けない?」

「それは…」

「警戒してる?」

「いえ、そんなことはないですが」

「じゃ、今度の週末は暇?」

「え?」

「一緒に出掛けよう。いい店があるんだ」
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