君をひたすら傷つけて
 パーティの後にリズと一緒にアパルトマンに戻りながら、アルベール・シュヴァリエとのことを話すと、リズは一瞬驚いたような顔をしたけど『楽しんで来たらいい』と言ってくれた。リズが行って来いと言うから行くのではなく、私の中で何かが変わり始めていたのかもしれない。

 リズの真っ直ぐな姿を見ていると私も前向きに歩きたいと思いだしていた。そして、そのタイミングでアルベール・シュヴァリエは私を誘ってきた。

 そして、数日後、一緒に出掛けた時、アルベール・シュヴァリエはパーティとは違う普段着で白のシャツにジーンズというラフな姿だった。

 車で迎えにくるでもなく歩いて迎えに来た。

 デートを楽しんで来たらというリズにキュッと抱きしめて貰ってから私はアルベール・シュヴァリエと一緒に出掛けることになった。何を話していいか悩む私を安心させるかのようにゆっくりとした口調で色々なことを話す。

 出掛けた先は雑貨屋と服屋。

 アルベールが私を案内してくれる店は有名なデザイナーのショップではなく、名前も知らないような店だった。でも、シャツの一枚を羽織ってみると、身体にフィットする縫製の良さを感じた。フッとアルベール・シュヴァリエの方を見ると満足そうに笑っている。

「どう?」

「うん。着やすいかも」

「洗えば洗うほど着やすいよ」

「それも楽しみね」

 私はアルベール・シュヴァリエと一緒にいると笑っていた。何も考えずに笑っていた。
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