君をひたすら傷つけて
「いきなりね」

「そう?でも聞いてみたかったの」

 まりえが私が義哉のことを今も恋していることを知っている。忘れられないし、忘れるつもりもないのも知っているはず。まりえはあまり人の心の中に踏み込むようなことをしないのに、今日は穏やかな光の中、胸の奥を知りたがる。

「まりえらしくない」

「私でもそうだと思う。リズ以外に雅を守ってくれる人がいて欲しいと思うからかもしれないわ。実は私は日本に帰らないといけない時期が近付いている。元々が一年だったのに、この場所がリズと雅の傍にいるのが居心地よくて延ばしてしまったわ。大学に復学もしないといけないしね」

「そうだよね。まりえは日本に帰らないと。でも、守って貰わなくても会話には不自由してないし」

「そんなことは心配してないわ」

「そう。でも、帰国かぁ」

「うん」

 そろそろ帰国の話が出ても可笑しくない時期になっていた。本来なら、私が先に帰国して、まりえが帰国する予定だったけど、私の帰国は未定になっている。私と違ってまりえは留学している途中で大学に籍を置いたままで、私の休学とは違う。

「秋には日本に帰るの?」

「秋じゃ大学の講義に間に合わないから、夏には帰らないと」

「そうなのね。分かっていたけど改めて聞くと寂しいかな」


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