君をひたすら傷つけて
「また、いつでも会えるわ。雅ともリズとも」

 まりえはそう何事もないようにいうけど、日本とフランスの距離を考えると…そんな風に簡単には考えられない。今までみたいにはいかない。楽しく穏やかな日々が薄れていく。

「うん。それは分かるけど寂しい」

「だから、彼とのこと、アルベールのことを真剣に考えて欲しいの。彼は客観的に見て素敵だと思う。あれだけ綺麗なのに驕ることなく雅を心から思っているし、彼なら、雅を泣かせたりしないと思うの。雅を愛してくれると思うの。後は雅の気持ち次第だと思う」

「アルベールにも選ぶ権利はあるでしょ」

「そうだけど、雅だって彼に嫌われているとは思わないでしょ」

「友達よ」

「友達を好きになって、恋が始まることだってあるでしょ」

 アルベールを義哉のように好きになれたらどれだけよかっただろう?でも、あの時のような痛みを味わいたくない。もしも心を許して、その後に胸を掻き毟られるような痛みに耐えられる自信はない。そのくらいならもう恋はしたくない。それに私は義哉のようにアルベールのことを思うことは出来ない。

「そうなんだろうけど。私には…。」

「一度真剣に考えてみて。亡くなった義哉くんを思う雅の気持ちも分かるけど、義哉くんも雅には幸せになって欲しいと思っていると思うわ。だから、恋を決めつけないで」

 それが出来れば苦労はしない。

「無理よ。私には恋愛は出来ないわ」

「そんな風に決めつけては駄目」

 まりえの真剣な瞳が綺麗だと思った。

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