君をひたすら傷つけて
「そうなの。知らなかった」

「雅は全くそういうのは興味ないんだろ。検索したら色々と出てくるよ。一応、モデルだし」

「そんなこと考えたことなかった。アルベールはモデルだけど、それは仕事でしょ。だから検索とかしないよ。ネットの情報なんて嘘も多いし。知りたいことがあれば聞けばいいでしょ。一緒にいるからそれでいいかと思うけど」

「雅の言う通りなんだけど、そういう人ばかりじゃないんだよ。モデルから検索して、そこから一族に辿りつく。それで俺を見る。あ、モデルで成功しているのは一族の力なんだって」

「そうなんだね。でも、じゃ、なんで私をここに連れてきたの?」

「なんでだろうね」

 アルベールがニッコリと笑うとさっきの男の人が戻ってきた。

「お席のご用意が出来ました。こちらにどうぞ」

 私がソファから立ち上がろうとすると、スッとアルベールの手が私の前に差し出された。まるでどこかのお嬢様になったかのように差し出された手を見つめた。そして、アルベールを見つめた。

 なんてこの人は綺麗なんだろう。

 私はゆっくりと自分の手を重ねると立ち上がるのに合わせて手を動かしていく。その仕草は彼の育ちの良さを感じさせた。そして、エスコートされながら耳元で囁くようにアルベールは囁いた。

「雅なら俺の何を知っても変わらないと思ったからだよ」
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