君をひたすら傷つけて
「そんなに見るなよ。俺が緊張しているの分かっているんだろ」

「うん。分かっている。」

 でも、視線を外さない私にアルベールはクスクス笑った。その微笑みに少しだけ緊張が解けたのかもしれない。私以上に緊張の色を零すアルベールに顔が緩むのを感じた。

「わかっているのに、凝視する雅って意地悪だな」

「そう。私って意地悪かも」

「さ、もうすぐ着く。帰って寝るだけの所だから、あんまり期待しないで」

 アルベールの言葉が終わると同時に目の前に入ってきたのは高級と言われるアパルトマンだった。高級住宅が集まる区画にあるアルベールのアパルトマンは私が住むアパルトマンとは全く違う。足を入れるのを躊躇してしまうほどの豪華さで、足が竦む。

 帰って寝るだけ?ここで私が料理する?

「なんか凄い。場違いな私って感じ」

「帰って寝るだけの場所なんだけどね。さ、入ろうか。荷物を運ばないといけないし、俺、結構お腹空いている。少し走り過ぎたかもしれない」

 お腹空いていると言いながら迎えに来たのにドライブをしたりして、もっとお腹が空いたのではないかと思う。それなら、ドライブをしないでそのままここに来た方が良かったかもしれない。

「何でドライブに行ったの?」

「雅が可愛くてヤバかった。だから、精神冷却。今の俺の精神は鋼鉄よりも強いから大丈夫。安心して入っていいよ」

「え?」

「マジでお腹空いた」
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