君をひたすら傷つけて
「後は何にする?さすがにシーフードドリアだけでは足りないでしょ」

 誕生日にドリアだけではさすがに申し訳ない。でも、そんなに凝ったものは出来ないし…アルベールはモデルだから、カロリーとかも気になってしまう。食事に行く時もその辺はキチンと管理しているのを知っているからメイン以外はアルベールと一緒に相談する方がいい。

「まだ何か作ってくれるの?ドリアだけで十分なんだけど。もし他に作ってくれるならサラダは食べたいな。毎日食べているから」

 色々な種類の野菜を買ってサラダにしようと思う。ドレッシングはまりえに習った特製のを作ればご馳走に見えるだろう。マルシェに寄って、買い物を終わらせてからアルベールのアパルトマンに着いたのは夕方になってからだった。

 最初は買い物を終わらせてからすぐに行くつもりだったけど、アルベールが『少しドライブでもしよう』というので夕方になってしまった。少し郊外まで足を延ばして見たりしてとても楽しい時間だった。車から降りることはなかったけど、それでも車の中では話が弾み、楽しくて笑ってばかりだった。

 郊外からパリに戻る間に少しずつ緊張が身体の中にあるのを感じてしまう。でも、横を向いた時にその緊張は私だけでないと気付いてしまった。アルベールは運転をする顔がさっきよりも表情を無くしている。

 アルベールの顔って本当に綺麗だと思う。私の視線に気付いたのかアルベールは低く掠れた声を車の中に響かせたのだった。
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