君をひたすら傷つけて
 その持って来られた毛布の柔らかさに誘われるように私がアルベールのところに行くと、そっと毛布を捲ってくれた。

「おじゃまします」

「どうぞ」

 そこに私の身体を滑り込ませると、自分はその毛布の反対側から、自分の身体を滑り込ませた。そっと、足が触れてしまい、きゅっと自分の身体を抱き寄せるとアルベールがクスクス笑う。

「雅の足は冷たいね。俺で暖を取っていいよ」

「いつも足は冷たいの」

「そうなんだね」

 アルベールのリビングのソファは私が横に寝れるくらいに広く長い。そんなソファに向かい合い、一枚の毛布に入って向かい合う。アルベールもシャワーを浴びてきたばかりなのか、いつもは見せないような隙を見せていた。

 気怠そうにソファに身体を傾け、私を見つめている。

「そんなに寒い?」

 寒いというか、お風呂上りに少し時間が経っているのでじわじわと身体が冷えてくる感じ。でも、今は寒いというよりは緊張しているといった方がいい。好きと言われて付き合いだしているのだから…こんなことくらいで緊張してはどうにもならないと思うのに、恋愛経験がほとんどない私はどういう行動を取ったらいいのかわからない。

「寒いならもっと毛布を持ってくる?」

「大丈夫」

 そんな言葉にアルベールは頷いた。でも、頷いたのに、アルベールは少し身体を浮かすと、私の腕はギュッと強い力で引き寄せられ、バランスを壊した私はアルベールの身体を自分の身体で押し倒してしまっていた。
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