君をひたすら傷つけて
静かに逃げるように部屋を出て、外からカギを掛け、ポストにカギを入れると、まだ空気の冷たい朝の中に出た。アルベールのアパルトマンは便利がいい場所にあるからタクシーはいくらでもある。
私は並んである一番前にあるタクシーに乗り込むと、自分のアパルトマンの住所を言った。運転手は泣きはらしたような女が乗り込んでくるという場面に慣れているのか興味がないのか全く表情を変えない。それが有難かった。今、何か言われたら唇を噛むくらいで噛み殺せないものが溢れそうだった。私は窓の外に流れるひんやりと冷たさを感じるパリの街を見ながら、膝の上で手を握った。
逃げるように自分のアパルトマンに戻ってきた私はアパルトマンの前に立つと肩から力が抜けていく。緊張は解けていき、切れそうなほど噛んだ唇は痛みのため痺れている。
自分の腕にある時計を見ると朝の五時を回ったところだった。この時間ならリズもまだ寝ているだろう。そんなことを思いながら、鍵を開けて入ると、そこにはマグカップを持ってただ立っているリズと視線が合ってしまった。リズはこんな時間に私が帰ってくるとは思わなかったのか、目を大きく見開いていた。
私もリズが起きていると思わなかったので何も言えないままその場に立ち尽くしてしまった。
「おはよう。さ、早く入りなさいよ」
私は並んである一番前にあるタクシーに乗り込むと、自分のアパルトマンの住所を言った。運転手は泣きはらしたような女が乗り込んでくるという場面に慣れているのか興味がないのか全く表情を変えない。それが有難かった。今、何か言われたら唇を噛むくらいで噛み殺せないものが溢れそうだった。私は窓の外に流れるひんやりと冷たさを感じるパリの街を見ながら、膝の上で手を握った。
逃げるように自分のアパルトマンに戻ってきた私はアパルトマンの前に立つと肩から力が抜けていく。緊張は解けていき、切れそうなほど噛んだ唇は痛みのため痺れている。
自分の腕にある時計を見ると朝の五時を回ったところだった。この時間ならリズもまだ寝ているだろう。そんなことを思いながら、鍵を開けて入ると、そこにはマグカップを持ってただ立っているリズと視線が合ってしまった。リズはこんな時間に私が帰ってくるとは思わなかったのか、目を大きく見開いていた。
私もリズが起きていると思わなかったので何も言えないままその場に立ち尽くしてしまった。
「おはよう。さ、早く入りなさいよ」