君をひたすら傷つけて
その時の私の気持ちを言葉にしようとしても言葉にならない。

 またすぐ会えるのに、距離が離れるということが思ったよりも私の心を揺さぶった。『もっと傍に行きたい』という思いは胸の奥から込み上げてくる。義哉とは違った意味で私はアルベールのことを愛している。あの時受け入れることが出来ず、宙に浮いたままの気持ちがゆっくりと自分に重なろうとしていた。

 アルベールは私のことを愛してくれている。そして、私も愛している。恋愛に不器用な私の気持ちが追いつくまで待ってくれた。優しさと愛は本物だ。

「雅。少し頭を冷やした方がいい。シャワーをおいで」

 少し離れた唇の隙間からアルベールの声が私の耳に届く。その声はいつもの優しい声ではなかった。アルベールは私が酔った勢いでキスをしたのだと思ったのだろう。確かに少しの酔いは私を大胆な行動に動かしているのかもしれない。
 
 それでも私は…。もっと傍にと思う気持ちが強くなっている。

「シャワーを浴びてくる」

 私はその場に居るのが恥ずかしくて、そして、自分のアルコールに酔った状況での大胆な行動を隠すように、バッグの中に入れてあった着替えを取ると、バスルームに入った。全部脱いで頭の上から熱めのシャワーを浴び、そのまま目を閉じた。
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