君をひたすら傷つけて
日本を出た時、私は大学生で一年間のつもりでフランスに語学留学をした。語学留学したのは高校の時から考えていたことでそのために今の大学を選んだ。でも、私はフランスで新しい道に出会い、語学留学終了と同時に大学を休学。そのまま、フランスで学校に専門学校に行きながら仕事をしてきた。早いものだと思う。

「日本にいるのね」

 私はそのままベッドに横になると天井を見上げた。色々なことが頭の中に浮かんできては消えていき、いつの間にか記憶が朧げになり、また、天井が目に映った時は部屋の中は明るくなっていて、私が着ていた服には皺が寄っていた。

「寝ちゃったのね」

 午後にはフランスからの荷物が届く。それを受け取ってから私は義哉に会いにいくつもりだった。シャワーを手早く浴びて、コンビニで買ってきたおにぎりとサンドイッチをお腹の中に入れると出かける準備をする。

 日本の宅配業者は正確な時間帯に荷物を届けてくれた。私をそれを受け取るとすぐに出掛けることにした。久しぶりに義哉に会うのだから、可愛くとも思ったけど、普段通りのまま行くことにした。その方が私らしい。

 心が引き裂かれるように思った苦しさも時間は少しは解決してくれている。それがとても悲しかった。
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