君をひたすら傷つけて
セレクトショップで選んだものを篠崎さんに試着して貰って思ったのはモデル出身というだけあって、彼の手と足の長さがどんな服でも綺麗に見せるということだった。どんな服でもワンランク上に見せることが出来るのは嬉しい。

 私は緊張していたコーディネートが楽しくなってきていた。

 何度も何度も試着を繰り返したのは彼に本当に似合う色を見つけるため。普段着であっても彼の魅力を知って欲しいと思うからだったけど、篠崎さんは嫌な顔をせずにいくつも身に着けていく。

「これとこれはどうですか?」

「似合う?」

 選んだのはシンプルな形のシャツで素材は柔らかで肌さわりがとてもいいもの。生地の良さと縫製の良さで値段もそれだけはある。でも、一緒に選んだダウンジャケットは着心地はいいけどリーズナブルなものだったから、バランスは取れていると思う。

 ダウンジャケットはリーズナブルなものだけど軽くて形はすらっとしているし、何よりも色のバリエーションが多かった。彼のイメージであるモノクロもいいけどそれ以外の色も楽しんで欲しかった。

「はい。似合います。ジーンズを履くなら靴は少ししっかりとした感じのものを選ぶとバランスがいいです」

「気に入ったよ。ジーンズはよく履くから助かる。こういう色の組み合わせも面白いな」

 そんなことを言いながら篠崎さんはご機嫌だった。満足げな篠崎さんを見て、私はホッとする。ホッとしたと同時に嬉しかった。

「それならよかったです」

 個人的に依頼を受けて洋服をコーディネートしたのは初めてだったけど、自分でもこれが今の私には出来るすべてを出し切るくらいに必死に頑張った。喜んで鏡を見ている篠崎さんを見ているだけで私は嬉しかった。
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