君をひたすら傷つけて
まりえが一緒に行くと言った理由は分からない。でも、エマもまりえもリズを一人でニューヨークには行かせたくないらしいことだけは分かった。まりえは結婚していることを考えると私が行くべきだろう。でも、アルベールのことを考えるとまたフランスに帰るのが遅くなると直ぐに決断することは出来なかった。

「今回のCMの話を詳しく聞きたいと連絡してからにしましょう。ここで何を言っていても相手側の気持ちを聞かないと決められないでしょ。ただ、今回の話を社の中でも実績になるから欲しい仕事よ。でも、無理な時は断る」

 エマの言っている意味は分かる。お兄ちゃんの紹介からではあるけど、企業したばかりの会社にとって日本で一番大きなプロダクションからの仕事は拍がつくだろう。世界的に有名なスタイリストのいる会社とはいえ、まだ、日本では無名に等しい。エマとリズの人脈を持ってすれば、いつかは軌道に乗る。でも、この仕事を成功すれば、一気に弾みがつくのは明らかだった。

フランスでもどんな小さな仕事でも何でも受けていた。

「雅。高取さんに篠崎さんのCMの件で話が聞きたいと連絡してくれる?そして、相手のいい時にお伺いするって」

「分かった」
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