君をひたすら傷つけて
「雅なら黒か紺の靴を持って来ていると思った。多分、それなら合う」

「これ、お兄ちゃんが買ってくれたの?」

「他に誰が買う?でも、選んだのは店の女性だから安心していいと思う。それに雅に似合うと思うよ。今回は色々と無理をさせたからと思って買ったが、考えてみれば、リズが雅のドレスを準備しないことなんてないよな」

 フランスから来た私は日本に戻ったままのスーツケースのままだった。勿論、ワンピースなどは持って来てないけど、リズが気を利かせてくれただけだった。お兄ちゃんもリズと同じように私の事を心配してくれていた。

「ありがとう。今日の夜に着る。とっても可愛い」

「気に入ったか?」

「うん。勿論よ。とっても可愛いし嬉しい。今日の夜に着るね」

「ああ。じゃ、時間になったらレストランで会おう」

「うん。ありがと」

 私は大きな白の箱を持ってお兄ちゃんの部屋を後にした。お兄ちゃんは本当によく気が利く。大きな箱をキュッと抱くと私はリズの部屋に行くことにした。

 さっきは、一時間前に来てと言われたけど、このワンピースをリズに見せておこうと思ったのだった。チャイムを鳴らして少し待つと、髪を下して、部屋着に着替えたリズが出てきて、私の手にある大きな白の箱を見てクスクスと笑った。

 箱を見ただけで何が入って居るか分かったようだった。

「とりあえず試着してみようか」
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