君をひたすら傷つけて
「知らない。でも、アルベールから何通も連絡が届いている」

「早く見てみて」

『雅。連絡が欲しい』

『雅。事情があって、モデルを引退することになった』

『日本にまだいるの?』

『雅。何度か連絡したけど、電源が入ってないといわれてる。すぐに連絡が欲しい』

『ごめん。引退のことが雅に説明する前にリークされてしまった』

『何度もごめん。連絡してほしい』

 数分おきに何度も同じような連絡が入っていた。そして、私はその画面を見ながら固まってしまった。アルベールはモデルとしての自分の仕事に誇りを持っていたし、私もその真摯な姿を尊敬していた。そのアルベールが引退だなんて、信じられない。

「早く連絡した方がいい」

「うん。すぐ電話してみる」

 私がアルベールに電話を掛けるとすぐに電話が繋がり、アルベールの声が私の耳に届いた。その声はいつもの穏やかさはなくひっ迫しているものだった。

『アルベール。ごめんなさい。連絡が遅くなって。実は今、フランスに戻ってきて、空港で携帯の電源を入れたばかりだったの。さっき、アルベールがモデルを引退するってニュースを見たの。本当なの』

『その話を雅にしたいと思って。今。空港なんだね。悪いけど、今、俺のいるホテルまで来てくれると助かる。自分の部屋には戻れないんだ。記者がたくさんいて、昨日からずっとホテルの中にいる』
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