君をひたすら傷つけて
 飛行機が空港に到着すると、次第に周りは慌ただしくなる。私はリズよりも寝入るのが遅かった分、起きるのも遅かった。身体の揺さぶりとともに目を覚ますと既に降りる準備をしているリズの姿があった。

「もう着いたわよ」

「リズはイタリア行きに乗り換えるの?」

「そのつもりだったけど、やめた。一度自分の部屋に戻ってからイタリアに行くことにしたわ。チケットは払い戻しすればいいし」

「何で急に?」

「二日後の雅の雑誌に仕事に一緒に行くわ」

 私はリズと一緒なのは気持ちの上で安心する部分が多く。ホッとする。リズは独り立ちをするようにいうけど、私のどこかにリズに対してどこか甘えがあった。

「嬉しい」

「仕事はいいけど、空港に降りて、すぐにアルベールに連絡しなさいね。どうせ雅のことだから、日本を発つ前に連絡をしてないでしょ」

「うん。何となく言い出しにくくて」

 空港で入国手続きを終わらせると、私はアルベールに連絡をすることにした。日本から帰る時に連絡しようかと思ったけど、連絡したら、仕事が忙しいのを無理して迎えに来そうだから、フランスに着いてからのつもりだった。

 私がバッグから携帯を取り出して、電源を入れると、数件のメールが届いていた。それの全てがアルベールからで、私が飛行機に乗った時間から続いていた。

「雅。これ?知っているの?」

 同じように携帯の電源を入れたリズは私にニュースの画面を見せてきた。その画面を見て私は自分の手に持っていた荷物を床に落としてしまった。

『アルベール・シュヴァリエ。電撃引退。今期のコレクションも全て白紙になり、今後の活動は未定』
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