君をひたすら傷つけて
「私のことも?」

「雅が日本から来た語学留学生で、今はコレクションのスタイリストをしていること。今はまだ、このくらいだけど、これからどうなるかわからない。今まで、俺が自由に生きられるように叔母がすべてのマスコミから守ってくれていた。だから、雅と付き合っていても騒がれることがなかったが、今回は叔母も亡くなった上に、俺のことをよく思わない人間がいてこんなことになってしまい、本当に申し訳ないと思っている」

「アルベール。で、あなたは何をどうしたいの?」

 リズは表面上は静かに話を聞いているように見えたけど、語尾の強さからアルベールのことをよく思ってないのは何となくわかった。結局はアルベールの家の相続問題に巻き込まれているということだろうけど、アルベールが事業を継いだら、マスコミを抑えることが出来るとは思うけど、アルベールの浮かない表情が気になった。

「雅と結婚したい。雅以外の女性は考えられない。でも……」

「でも?」

「モデルの俺ではなく、後継者としての俺と結婚するというのは、今までと全く違う人生を歩ませることになってしまう。叔母の残した事業は多岐に渡っていて、後継者の妻になる人はその仕事の一端を担わせてしまう。雅のことを愛しているし、一生、大事にする。そして、俺の手で誰よりも幸せにしたいと思っている。

 ただ、雅が俺と一緒に生きてくれるなら、雅にはスタイリストの仕事を辞めてもらわないといけない。叔母の事業は色々な企業にスポンサーとなっている。だから、スタイリストとして働くことが厳しい」
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