君をひたすら傷つけて

リベンジ

 その日はよく晴れた日だった。

 里桜ちゃんの元カレの結婚式は11時からとなっていて、その後はお決まりの披露宴もあるらしい。正直、そんな結婚式に出席させることの意味が分からなかった。目の当たりにした里桜ちゃんが悲しい思いをしてまでリベンジをさせる必要はあるのだろうかと今でも思う。

 でも、これからのことを思い、篠崎さんはそれを望み、里桜ちゃんもその手を取った。二人の決めたことを出来るだけ手伝えればと思う気持ちも本当だった。お兄ちゃんを通して篠崎さんに頼まれた時、私の技術で里桜ちゃんの手助けができるなら。

 改めて篠崎さん本人からの頼まれた時も『私で良ければ』と即答した。

 私は朝、少し早めに起きると、自分の仕事道具を整理し始めた。メイク道具だけでなく、ドライヤーにヘアアイロンなども準備する。リビングに持ってきて準備をしていると、お兄ちゃんは私の荷物を見て、溜息を零した。

「これ全部持っていくのか?」

「そうよ。最高に可愛い里桜ちゃんにしてあげたいと思うの。だって、二股とか許せないし、それだけでなく、里桜ちゃんを結婚式に呼ぶ神経も、高校からの親友の彼と略奪婚をしようという神経も分からない。だから、里桜ちゃんを傷つけたことを後悔するくらいに可愛くしてあげたい。篠崎さんと並ぶだけでも破壊力は抜群だろうけど、霞まないように可愛い女の子にしてあげたいの」

「雅らしいな。で、俺は荷物を持てばいいのか?」

「カートを持っていくから大丈夫」

「わかった」

 そうは言いながらも、準備が出来て出掛ける時は全ての荷物はお兄ちゃんは荷物を持ってくれた。

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