君をひたすら傷つけて
「ごめんね。里桜ちゃん。本当にこの子、口が悪いの。でも、腕は確かだから大丈夫よ。それとこれが高取さんに預かった書類。中身は住民票よ。免許書の書き換えだけは里桜ちゃんが行ってね」

「ありがとうございました。残業だから助かりました」

「いいのよ。ご褒美貰っているからね。じゃ、急ぐから。またね」

 里桜ちゃんに手を振ってロビーを出ようとすると、急に神崎くんが今出たばかりの会社に入っていき、何か里桜ちゃんと話していて、すぐにまた戻ってきた。

「何か忘れたの?」

「いや。被写体として気に入ったから、モデル頼んだらバッサリ断られた。雅さんなら分かるだろ。あの子。ファインダー越しでめちゃいい。篠崎さんの目も凄いな」

 そういいながらカメラを大事そうにケースの中に片付けていく。それにしても里桜ちゃんをモデルのしようなんて、本当に命知らずというか……。

「篠崎さんが溺愛しているから……」

「溺愛ね。まあ、高取さんと雅さんを動かしてまでだから、あの子のことを大事に思っているのは分かる。さてと、とりあえず、この写真をパスポート用のサイズにするのにスタジオに寄って貰っていい?データだけより、プリントした方がいいだろ」

「もちろん。その方が助かる。それが終ったら、高取さんが申請に行くと思うから」

「今から??高取さんがそこまでするの?」

「さ、何か急ぐだけの理由があるのだと思うけど、私には分からないわ。でも、高取さんが篠崎さんの為にならないことをするとは思えないから、理由はあると思う」
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