君をひたすら傷つけて
今まで怖いと思ったことはある。でも、こんなにも怖い思いをしたのは初めてだった。私に体重を傾けるように意識を失った高取くんを見ているだけで怖くて涙が零れた。ぐったりとしている高取くんを走ってきたお兄さんは抱き寄せると首筋に手を手を当て、手首で脈を取り、心臓に耳を当てる。
そして、フッと息を吐いた。
「義哉は大丈夫だよ。今から病院に連れて行くから、藤堂さんだったよね。一人で帰れる?」
「高取くんは?」
「大丈夫。貧血かもしれないな。疲れて寝ているだけみたいだから大丈夫」
さっきまで苦しそうだったし、お兄さんも必死に走ってきている状況で大丈夫と言われても心配で仕方ない。それに疲れて寝ているとは思えない。でも、さっきまでの苦しそうな雰囲気はなく、呼吸も整っているようには見えた。お兄さんは自分のスーツの内ポケットから財布を出して、一万円を取り出すとそれを私の方に差し出した。
「申し訳ないけど、これでタクシーで帰ってくれるかな?」
「いえ。まだ時間も早いので電車で帰ります」
「藤堂さんを一人で帰したら義哉がきっと心配するし、自分が倒れてしまったことが重荷になる。それに少しでも早く義哉を病院に連れて行きたいから言うことを聞いて」
勢いに負け、お金を受け取るとお兄さんはニッコリと笑った。その表情は高取くんにそっくりでこんな大変な時なのに二人は似ていると思った。
「ありがとうございます。タクシーで帰ります」
そして、フッと息を吐いた。
「義哉は大丈夫だよ。今から病院に連れて行くから、藤堂さんだったよね。一人で帰れる?」
「高取くんは?」
「大丈夫。貧血かもしれないな。疲れて寝ているだけみたいだから大丈夫」
さっきまで苦しそうだったし、お兄さんも必死に走ってきている状況で大丈夫と言われても心配で仕方ない。それに疲れて寝ているとは思えない。でも、さっきまでの苦しそうな雰囲気はなく、呼吸も整っているようには見えた。お兄さんは自分のスーツの内ポケットから財布を出して、一万円を取り出すとそれを私の方に差し出した。
「申し訳ないけど、これでタクシーで帰ってくれるかな?」
「いえ。まだ時間も早いので電車で帰ります」
「藤堂さんを一人で帰したら義哉がきっと心配するし、自分が倒れてしまったことが重荷になる。それに少しでも早く義哉を病院に連れて行きたいから言うことを聞いて」
勢いに負け、お金を受け取るとお兄さんはニッコリと笑った。その表情は高取くんにそっくりでこんな大変な時なのに二人は似ていると思った。
「ありがとうございます。タクシーで帰ります」