君をひたすら傷つけて
 化粧品を片付けながら二人を見ると、篠崎さんは里桜ちゃんに似合いそうなドレスを探していた。探すのを手伝おうかと思ったけど、二人のためのドレスなのだから、二人で選んだ方がいい。雅人とお兄ちゃんは手帳を開いて難しい顔をしているから、かなりスケジュール的に厳しいのだろう。

 私はスタイリングの準備が終ると、傍にあるドレスに手を添えてみた。繊細なレースにオーガンジーをたくさん使ったもので、光の中で見ると、上半身のビーズがキラキラと輝き、裾が長く床を彩るドレーンはきっと女の子の夢を現実のものとするだろう。

「私が里桜ちゃんの化粧をしている間に篠崎くんはドレスを選んでいて」

 私がそう言いながら、里桜ちゃんの肌にコットンに化粧水を乗せたものを落として、簡単な化粧とヘアセットをする。10分ぐらいの間の短い時間だから、凝った髪型は難しいけど、実際にドレスを着た時に首元のイメージが湧きやすいように結い上げていた。

「これでいいかな」

 篠崎さんの選んだドレスは全部で7枚。

 可愛いものから、シックなものまで幅広いけど、どれも里桜ちゃんに似合いそうなものだけを選んでいた。このドレスのラインナップが篠崎さんが里桜ちゃんのイメージなのだと思う。可愛くて綺麗で、でも、どこか凛とした佇まいもあって……。

 モデルをしていて、色々な衣装を着るからか、センスは抜群に良かった。

「ありがとうございます。では、着付けが終ったら教えますから、少し待っていてくださいね」

 篠崎さんが選んだドレスを受け取ると、私は準備をするためにカーテンを閉めた。
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