君をひたすら傷つけて
「ではいくつかのサンプルドレスを着てみてイメージを固めていきたいと思います。今日は雅が手伝うというのでウチのスタッフは帰らせてます。篠崎さんがいると仕事になりそうもないので」

「じゃあ、里桜ちゃん。こっちで選ぼうか?」

 アトリエに並んでいるドレスを見つめると、雅人はニッコリと笑った。さすがにウエディングドレスを専門にするアトリエなだけあって、数は揃っている。しかし、そのどれもが繊細なつくりのもので、雅人が一生懸命仕事をしているのは分かった。

「こちらで篠崎さんと打ち合わせをしているので、ゆっくりいいよ」

「俺も一緒に選ぶよ」

 今、雅人が篠崎さんと打ち合わせと言っているのに、篠崎さんはドレスを選びたいという。お兄ちゃんは仕方ないって顔をしていた。

「すみません。篠崎が戻るまで、先に打ち合わせをして貰ってもいいですか?」

「いいですよ。じゃ、雅、奥の支度室を利用していいから。分からないことがあったら言って。高取さんと打ち合わせをしているから」

「ありがとう。じゃ、篠崎くんも一緒に選びましょ」

 純白のドレスが所狭しと並んでいる。サンプルドレスにしても、これだけの数があるのは珍しい。この全てを雅人がデザインしたのだとすると凄い。篠崎さんと里桜ちゃんがドレスを選んでいる間に私は準備を始めた。

「雅人。化粧品は私の持ってきたものを使うからここに並べてあるのを片付けていい??」

「適当に箱に詰めてくれたらいいよ」
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