君をひたすら傷つけて
「なんで?アルベールがここに?」

「それはこっちのセリフだよ。雅は日本で仕事をしていたのではないのか?フランスでまた仕事を始めたのか?ここにはリズの手伝いで来ているのか?」

 矢継ぎ早な質問にどれから応えていいのか分からないで、迷っていると、アルベールの後ろにいる。男の人が私を見て、アルベールに耳打ちする。

『アルベール様。ここは人の目がありますので』

 確かにそうだった。アルベールはビジネススーツを着ているけど、元モデルなだけあって、圧倒的な美しさを隠せないでいる。そんなアルベールはイタリアでも顔が知れていて、日本人の女性の腕を捕まえて話をしているだけで、どんなことが起きるか分からない。

「雅。少し時間があるか?」

「アルベールはフランスに帰るのではないの?」

「明日の一番のフライトに変更するから、少し話したい」

「アルベール様。でも、搭乗が始まっています」

 明日の朝一のフライトに変更するというアルベールに静かに話をしている男の人はアルベールを急かしながらも、私を醒めた表情で見つめた。

「明日の一番のフライトに座席の変更をしてくれ。会社に迷惑はかけない。明日、必ず帰るから、先にフランスに戻ってくれ」

「そこまで言われるなら、フライトの変更をして参ります。ただ、アルベール様のお立場を考えると、このまま外で話をされるのは困ります。ホテルを取りますので、お話をされたかったら、そこでされてください」

「わかった」
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