君をひたすら傷つけて
 お兄ちゃんにこんな風に服をプレゼントされることは二回目だった。

「里桜ちゃんの準備も終わったからと思ってきたけど、篠崎さんは??」

 里桜ちゃんの準備が終わったら篠崎さんの着替えの手伝いをするつもりだった。でも、その前に準備を終わらせ、篠崎さんは消えていた。

「フライングだよ。里桜さんに会いに行った。本当ならもう少し我慢すればいいのに、里桜さんにこととなると無理らしい。でも、それも海らしくていいかもしれないな」

「お兄ちゃんは何をしていたの?もしかしたら疲れてる?」

 いつもテキパキと動いているお兄ちゃんが教会の椅子に座ってステンドグラスを眺めているから、疲れているのかもしれないと思った。

「疲れてないとは言えないけど、ミラノで海が賞を取ってくれたことで全ての疲れは飛んだよ。祭壇のステンドグラスを見ていたら、本当に綺麗だと思って、つい見とれてた」

「本当に綺麗よね。フィレンツェの教会で結婚式だなんて素敵。でも、俳優篠崎海の結婚式がこんな場所で少人数で行われるのね。本当に大事な人だけね」

「里桜さんの方はご両親と、里桜さんの高校の時からの親友夫婦。つい最近結婚して、新婚旅行先をイタリアにして、結婚式に出るらしい。海は親族は居ないけど、代わりに聖とその息子の叶くん。それと俺と雅だけで事務所関係は誰も出席しないよ。社長はパーティだけは来るかもしれないけど、映画祭があって、その仕事もあるから」

 お兄ちゃんの言葉を頷きながら聞いていたけど、橘さんの子どもってところで『え?』って思った。

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