君をひたすら傷つけて

素直になれたら

 いつの間にか話している間に眠くなってしまい、気付いたら、既に部屋の中には明るい光で満たされていた。里桜ちゃんは既に起きていたみたいで、手の中にある携帯を見つめていた。篠崎さんの記事でも読んでいるのかもしれない。時折、幸せそうに緩んでいる。

「里桜ちゃん。今、何時?」

「11時を過ぎてますよ」

「もう、そんな時間?」

 そういいながらも、布団の中でゴロゴロしながら時間を潰してしまった。里桜ちゃんも疲れが溜まっているようで、積極的に起きる気配はなかったので、このまま、とりとめのない話をしながら時間を過ごして、起きたのは少しお腹が空いたからだった。

「里桜ちゃん。どうせ、篠崎さんも帰ってこないだろうから、買い物でも行かない?このままじゃ一日潰れちゃう」

「冬物の小物が欲しいです。素敵な服を雅さんに選んで貰ったのを着るだけではもったいないから」

「その感覚って大事だと思うわ。洋服は同じものを色々な人が買うでしょ。でも、それは自分らしく着こなすって大事よ。そうと決まったら行きましょ」

 着替えをしたら、すぐに出掛けることにした。

 里桜ちゃんと買い物するのは初めて会った時以来だと思う。でも、あの時よりもお互いに気心が知れたからか、楽しいと思ってしまう。前はどんな女の子か分からないから、探りながらだったし、篠崎さんを待たせてもいたから、焦る気持ちもあった。でも、今日はゆっくりと時間があるからよかった。
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