イケメンすぎてドン引き!


空は少しずつ暗くなっていき、

遠くから聞こえる部活中の声や音も、さっきより響きを増していく。



少しの沈黙の後、先輩は隣に座ったあたしを覗き込んできた。



突然、ふわっと先輩の香りに包まれる。



「あ、ごめん。俺ばっかりヘコんでたけど。そいえば、お前こそ大丈夫?」



「へ?」



「スミスに変なとこ触られたり、揉まれたり、吸われたりしなかった?」



「は、ちょ、はい!? されてませんから! あ……ちょっと触られたかも」



「まじか……。2人してちょっかいかけてくるし面倒だからジュース買いに行ったけど。

やっぱ2人きりにするんじゃなかったな……。ごめん」



「いえいえいえ! こちらこそすみません……で……し」



あれ? 何で?



「……っ」



自分、おかしいぞ。



「ん? どーした?」



「み、見ないで下さい……な、んでも、ないっ……!」



あたしは急いで先輩の逆側を向いた。



ふっと糸が切れたかのように、ぼろぼろと涙があふれ出してしまう。



って。何であたし、泣いているんだ?



「あーもう、泣くな泣くな。ま、しょーがねーよな。お前あーゆーことされるの初めてだもんなー」



「う……そうですけどっ、それだけじゃなくてっ」



「ん?」



確かにあんなことされたの初めてだったけど。



それよりも――。


「あたしが抵抗すればよかっただけなのに、何でかできなくて。されるがままになっちゃった自分が悔しくて……」



「…………」



「何か、今までそういう人になりたくないって思ってたけど。いざ男の子に迫られたら、流されちゃうんだぁって。

あたしも所詮ビッチの仲間なんだなぁって、ショックなんです……うっ」

< 100 / 262 >

この作品をシェア

pagetop