イケメンすぎてドン引き!
空は少しずつ暗くなっていき、
遠くから聞こえる部活中の声や音も、さっきより響きを増していく。
少しの沈黙の後、先輩は隣に座ったあたしを覗き込んできた。
突然、ふわっと先輩の香りに包まれる。
「あ、ごめん。俺ばっかりヘコんでたけど。そいえば、お前こそ大丈夫?」
「へ?」
「スミスに変なとこ触られたり、揉まれたり、吸われたりしなかった?」
「は、ちょ、はい!? されてませんから! あ……ちょっと触られたかも」
「まじか……。2人してちょっかいかけてくるし面倒だからジュース買いに行ったけど。
やっぱ2人きりにするんじゃなかったな……。ごめん」
「いえいえいえ! こちらこそすみません……で……し」
あれ? 何で?
「……っ」
自分、おかしいぞ。
「ん? どーした?」
「み、見ないで下さい……な、んでも、ないっ……!」
あたしは急いで先輩の逆側を向いた。
ふっと糸が切れたかのように、ぼろぼろと涙があふれ出してしまう。
って。何であたし、泣いているんだ?
「あーもう、泣くな泣くな。ま、しょーがねーよな。お前あーゆーことされるの初めてだもんなー」
「う……そうですけどっ、それだけじゃなくてっ」
「ん?」
確かにあんなことされたの初めてだったけど。
それよりも――。
「あたしが抵抗すればよかっただけなのに、何でかできなくて。されるがままになっちゃった自分が悔しくて……」
「…………」
「何か、今までそういう人になりたくないって思ってたけど。いざ男の子に迫られたら、流されちゃうんだぁって。
あたしも所詮ビッチの仲間なんだなぁって、ショックなんです……うっ」