イケメンすぎてドン引き!


「汚物ローファーぶつけたから、その罪悪感で俺と一緒にいてくれてるだけだよね……」


「んな訳ないじゃないっすか。だって……」



あたしは、言葉をいったん止めた。



今なら――。



『先輩といるの、すごく楽しいです』



この前、上手く伝えられなかったことが、すんなりと口から出せそうだ。


たぶん、今言わなきゃいけないんだ。



「みんなの前で作っている先輩も、あたしの前での、そこまでカッコよくない先輩も、今みたいな欝モードの先輩も、全部先輩です。あたしはそんな先輩の友達なんです!」



先輩の目を見据えてそう伝えると、

ゆっくりとその表情に血が通っていくように見えた。



「あたしは、先輩と一緒にいるの楽しいから、先輩と一緒にいたいんですよ」



「え……」



「たぶん、スミスさんもあたしと同じ気持ちでいてくれる人だと思いますよ」



「…………」



少しうるんだ二重の目が、少しずつやわらげられていく。



あ、ちゃんと届いたようだ。



掴まれたままのあたしの腕が、ぎゅっと一回、強く握られた。



「ありがとう。そう言ってくれるとほっとする」



――もう。


何なんだこのイケメンは。



猫かぶったり、友達になろうって言ってきたり、ヘコんだり、笑ったり、

時々素直な言葉をくれたり。



先輩の安心しきったような表情に、きゅっと胸がしめつけられた。



ふぅ、無事に欝モードを脱出させられたようだ。


よかったよかった。


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