イケメンすぎてドン引き!






「はっ!」



目を覚ますと、そこはベッドの上だった。



開けられた窓から、部活中らしき生徒たちの声と、湿った風が吹き込んでくる。


ゆっくりと上半身を起こすと、頭が少しクラクラした。



「あれ? ここはどこ? あたしは誰? 何があったの?」


と漫画みたいなセリフをつぶやいてみると……。



「ここ保健室。お前オブチモモカ。体育館裏で殴られて伸びてたからここにいる」



「ほえっ!?」



目の前にいたのは――


腕を組み、怖い顔であたしを見下ろしている、


吉野先輩だった。



「お前いつまで寝てるんだよ。……一応病院行くぞ」



窓からの風に髪の毛をそよそよとなびかせながら、彼はあたしをにらみつけた。








「とりあえず大丈夫です。それよりも貧血気味らしくて。今日は安静にしろとのことでした」



「ならいーわ。……帰るぞ」



先輩は鋭い目線のまま。


あれ? 何で機嫌悪いんですか?



先を歩く先輩の背中を追って、病院を出ると、

すでにあたりは薄暗くなっていて、一番星がキラリと光っていた。



先輩は時々あたしを振り返り、歩調を合わせてくれている。



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