イケメンすぎてドン引き!



「な、何? 近いんですけど……」



やっぱり。すぐ顔を赤くして、視線を泳がせる。



いつも憎まれ口しかたたかない分、このギャップが可愛かったりする。



後頭部に手を滑らせ、ぐっと額をくっつけにかかると、もう抵抗はしなくなった。


ぎゅっと俺の制服を握る仕草にもドキッとさせられる。



軽く触れるキスをしてから、もう一度顔を覗き込んだ。



すると、ようやく


「だって、大学東京でしょ? 来年ここから先輩がいなくなるの確定じゃないですか。寂しいし心配」


とかすれた声でつぶやいた。



こうでもしないと、中々素直になってくれないのが悩みだけど、それもまた可愛いとこでもある。



「何で心配なの?」


「先輩モテるじゃん。最近は本性少しずつ出してるけど、俺様キャラ妄想されて結局はキャーキャー言われてるし」


「あのさー。俺かなり一途なの知ってる?」



冬服になって素肌までの重なりが増えた分、力を込めて両腕で包み込んだ。


体はもちろん、心の中も温かくなる。



「お前いないと俺だって不安。こうしてるのすげー幸せだし」


「あ、あたしもです」



よしよしと背中を後ろからさすると、やっと俺の背中に手を回してくれた。



こういったささいな反応1つ1つに、

俺だってときめくことをコイツは知っているのだろうか。



「お前は進路どうすんの?」


「短大か、いけたら大学かな。保育関係の勉強したいなぁって」



強めに抱きしめている分、こもった声が体から伝って聞こえてくる。



「へー。このへん大学あんまないしお前も東京来れば?」


「まぁそうですけど。色々大学案内とか見て決めたいですから」



……こういうとこは意外としっかりしてるんだよなコイツ。





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