あなたと恋の始め方①
 目の前に出されたのは淡いピンクのカクテルだった。炭酸で割っているからか、シュワシュワとそして、折戸さんの前には丸い氷の浮かぶ琥珀色の液体。バランタインって…ウィスキーだったのだと知る。バランタインというから、チョコレートのようなお酒を少し想像してた。


「白桃のカクテルになってます。アルコールは低いので安心して飲まれてください」


 バーテンダーさんの作ってくれたのはアルコール度数の低い白桃のカクテルで、折戸さんはバーテンダーさんに向かってニッコリと微笑んだ。綺麗な顔がキャンドルの淡い光に揺れ、ドキッとしてしまう。こんなに魅力的な人を私は断ろうとしてる。どのタイミングでそんなことを言えるのだろうか?


 小林さんが好きだから、折戸さんのことは好きだけど、プロポーズは受けられない。


 気持ちを言葉にするのは難しい。こんな風に大事にされると私はどうしていいのか分からなくなる。プロポーズを断るということはこの素敵な人を先輩としてでも会うことが出来なくなってしまう。それが嫌だと思うのは我が儘なのだろうか?


 本当に恋は難しい。


「優秀なバーテンダーだ」


「恐れ入ります」

  

 グラスを重ねて、口に付けるとフワッと桃の甘い香りが抜けていく。フレッシュの桃を絞ったものを使っているのだから美味しいに決まっている。後味に少しだけアルコールを感じるくらいの微炭酸のカクテル。


 とても美味しい。甘いのに少しだけ苦い。
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