あなたと恋の始め方①
 週末は自分の部屋から出ない日々が私の日常だった。でも、いつもと違う日常が怖いと思う反面、楽しみでもある。ただ、心配なのは小林さんを退屈させないかということ。自分にもっと自信があればいいと思うけど、そんなに簡単に自分に自信を持てるようなら今までの人生で一度くらいは恋愛経験をしているだろう。


「はい。楽しみにしています」


「俺も楽しみにしてる。さあ、そろそろ帰ろうか。帰って寝ないと本当にヤバいね。明日、目覚ましを一つ増やさないと寝坊する」


 車を私のマンションの方に動かしながらそんなことを言う小林さんに笑いが零れた。そんな無邪気さがとっても好きだと思う。もうすぐ日付を変わろうとしている中、急に明日の仕事が気になりだす小林さんは真面目だと思う。小林さんは無邪気にそんなことを言うけど、本社営業一課で一翼を担っていた人だから、仕事に対してはストイックな面も持っている。


「何時に起きますか?」

「うーん。6時半くらいかな?」


 私が起きる時間は6時の予定。私の方が少しだけ早い。仕事柄、早起きも得意だったりする。焦って研究所に行くよりもゆったりとした時間を過ごしながら、仕事に入る方が私には向いている。


「寝坊したら大変なので、その時間に私がメールします。そうしたら、目覚まし一個分くらいは役に立ちますよ。」



「我が儘言っていい?」

「なんでしょう?」


「メールじゃなくて、朝から美羽ちゃんの声を聞きたい」
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