あなたと恋の始め方①
『買います』とも『買いません』とも言えなくて、下を向くと、小林さんがクスクス笑う声が聞こえる。小林さんはどう思っているのだろうか?男の人だから、この流れから行くと二人で抱き合うことは当然の成り行きであって、そう考えると避妊具は必要品。もしかしたら、お腹が空いた時ように買っているパンよりも大事なものかもしれない。



「買うよ」


 そういうと小林さんはスッと手を伸ばすと籠の中に放り込んだ。それはまるでお菓子売り場にあるチョコレートの箱と変わり映えしなかった。そして、何事もなかったかのように、ジュース売り場に向かう。そして、さっきの箱の横にジュースやお菓子を次々入れていった。


「他に買うものある?」


 さっき見つけた下着が欲しいと思ったけど、小林さんに見られるのは恥ずかしいので、私は首を振る。すると、にこっと笑った。


「先にレジを終わらせておくよ。外にいるから美羽ちゃんはゆっくり買い物してきていいよ。女の子は色々あるだろうからね」


 そして、そのまま小林さんはレジに行く。レジのお姉さんは籠の中に入ったのを躊躇なく機械を当て、ピッという音を鳴らす。そのピッという音で恥ずかしくなる私がいる。なんか、今から『スル』ということを周りに言っているようで恥ずかしい。
 

 小林さんも平然とした顔をしていて、お姉さんも平然とした顔。私だけ…焦り捲り。


「じゃあ、先に出るね」


「はい」
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