あなたと恋の始め方①
 オートロックの液晶の中にいたのは小林さんではなく、折戸さんだった。折戸さんの綺麗な微笑みが液晶の画面の中に映っている。私はその微笑みを凝視してしまった。帰国するのは来週のはずなのに、なんで折戸さんが私のマンションに来ているのだろう?


『折戸さん?どうしたんですか?』


『さっき日本に帰ってきたから、美羽ちゃんにお土産を持ってきたよ』


 お土産を持ってきたって…。わざわざ?帰国は来週じゃないの?頭の中の疑問符を振り払うかのように私はオートロックの解除をした。とりあえず折戸さんから話を聞いた方が早い。


『どうぞ』


 私はテーブルの上に置いてある携帯を取ると、そこに折戸さんからのメールが一時間以上前に届いていた。私は必死にお料理に励んでいたから気付かなかったのだろう。事前連絡なしに突撃をするような折戸さんではない。


『お土産を買ってきたから、届けにくるね』


 そんな焦る私の気持ちをよそに、玄関のチャイムが鳴る。急いで玄関まで行き、ドアを開けると、そこには手に花束と大きな紙袋を提げた折戸さんが立っていた。


 会ったのはあの空港でのが最後だから一年ぶりくらいだろう。


 久しぶりに会う折戸さんは私の綺麗な微笑みをくれる。フランスに行って動きが洗練されたのか、前以上に素敵だし優雅さは増したようだ。纏う空気も華やかで…少し短くなった髪が綺麗な顔を際立たせていた。

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