あなたと恋の始め方①
 スーツではなく普段着の折戸さんは驚く私の前で綺麗に微笑む。目を細めて眩しそうに微笑むその顔に私は釘付けになってしまう。恋をしているかのように簡単に心臓を飛び跳ねさせたのだった。もしかしたら私はこの人が好きなのかもしれないと恋と錯覚させるほどのフェロモンでも放出しているのではないかと思うくらいにドキドキが止まらない。


 サプライズにしてもサプライズ過ぎる。


「美羽ちゃん。久しぶり、とっても会いたかったよ」


 そんな穏やかな声を響かせながら、私に花束を渡す。薔薇とかそんなんじゃなくて、ガーベラとかそんな可愛らしい花で作られたブーケタイプの花束で本当に可愛い。花束とか貰ったことがなかったので戸惑いはしつつも嬉しい。自分の顔が綻ぶのを感じた。


「ありがとうございます。」


 貰った花束は折戸さんが持っていると小さく感じたのに、私が持つと思ったよりも大きい花束なのに驚いた。こんな花束を持ったまま折戸さんは歩いてきたのだろうか?花束を持って歩く折戸さんは待ちゆく人の視線を集めただろう。


「玄関先で話すのもどうかと思うので中に入りますか?」


「美羽ちゃん。男を簡単に自分の部屋に入れてはいけないよ。いくら、いい人でも、部屋に入って豹変したらどうするの?美羽ちゃんは女の子なんだから、その辺のことはきちんとしないと」


 過保護メールのような内容を、サラッと口にする折戸さんに私はフッと溜め息を零した。折戸さんは心配性過ぎる。でも、間違ってない。男の人を一人暮らしの自分の部屋に入れるのはどんなによくないことか私も知っている。

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