あなたと恋の始め方①
 私はホッとして頷いていた。帰らなくていいのでホッとしたのか、そういうことをしないと安心したのがよかったのか分からない。でも、私は素直に小林さんと一緒に居れるというのが嬉しいと思う。


「美羽ちゃん。お腹空いたでしょ。何か買っていこう」


「はい」


 映画館を出ると途中で何か食べれるものをということでコンビニに寄り、小林さんのマンションの近くのレンタルビデオ屋に行き、パッケージを見て、きっと笑えると思われるものを選び借り、小林さんのマンションに着いたのは映画館を出てから二時間くらい経っていた。


 久しぶりに来た小林さんのマンションだった。


 そして、小林さんの部屋は雑然としていた。


 散らかっているというよりは生活感が溢れているという感じで、リビングのソファには脱ぎっぱなしのシャツが置いてあり、床には読みかけの新聞もある。テーブルには飲みかけのコーヒーの入ったマグカップもあって、私を呼ぶつもりがなかったのは見れば分かるような状態だった。


「ゴメン。散らかっている」


「いえ、いいです。あんまり綺麗だと落ち着かないから」


「適当に座って」


 そういうと、小林さんはソファの上からシャツを取ると、バスルームに持っていき、マグカップはキッチンの方に持っていく。それと同時に冷蔵庫からお茶のペットボトルと持ってくると私の前に置いたのだった。


「とりあえず、食べながら借りてきた映画のDVDを見よう」


 小林さんはテーブルの上にコンビニで買ってきた食べ物を置くと、その前に座り、手を伸ばして、DVDのセットをする。そして、大きめのテレビに映ったのは映画館でよく見るオープニングだった。
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