あなたと恋の始め方①
 でも、それは杞憂だった。


 小林さんは腕の力を緩めると、私の唇に自分の唇とをもう一度ゆっくりと重ねる。そして、私の瞳をしっかりと見つめていた漆黒の瞳の奥に私が映っていて、小林さんの視線の全てが私に注がれているのを感じていた。


「嬉しいよ。ホントに」


 小林さんは私の身体をもう一度抱きしめた。


 
 仄かに蒼白い月明かりが部屋を包んでいた。小林さんは私の身体をベッドに横たえると、私の身体も部屋と同じ蒼に染まる。そんな私の横に小林さんは身体を横たえ、私の頬に手を添える。その優しい手に目を閉じると、もう一度唇に優しさが落ちてきた。


「美羽」


 目を開けると、そこには同じ蒼に染まる小林さんが居た。自分の手をそっと翳すと同じ蒼が私を包んでいた。まるで私がこれから小林さんの色に染められるのが分かっているかのような綺麗な蒼だった。


the end

『あなたと恋の始め方②』に続きます。
          

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