あなたと恋の始め方①
 折戸さんの質問は何だか尋問っぽい。端正で綺麗な微笑みを浮かべながら私の言葉を理解してくれているように見えるのに、たまに一瞬だけ見せる鋭い視線に頭の中のコンピューターはフル稼働しているように感じるのは間違いだろうか?


「それって、ただの友達だね。安心したよ」


 安心?何が???
 折戸さんの考えは私にはわからない。健全だからってことかしら?


 そんな話をしていると、インターフォンの呼び出し音が鳴る。液晶に映った顔は小林さんでその顔を見ると急に胸がきゅんとしてしまう。



『小林ですけど』

『はい。開けますね』


 画面が黒くなり、リビングの方を見ると、折戸さんがソファから立ち上がるのが見えた。ただ、ソファから立ち上がって私の方に歩いてくるだけなのに、どうしてこうも周りの空気を変える人なのだろうか?


「俺も蒼空を迎えに行こうかな」


 折戸さんの低く掠れた声は色香を纏い、一気に華やかさを放出する。


 玄関のチャイムが鳴ったので玄関のドアを開けると、そこには優しい笑顔をした小林さんが立っていた。私の顔を見て、ニッコリと笑ったのは一瞬で、すぐに顔が強張る。


「折戸さん。なんで??」


 小林さんの驚きは間違いないと思う。フランスにいるはずの折戸さんが私の部屋にいる。帰国するのは来週のはずだし、それに私のマンションに折戸さんがいるとは思いもしないだろう。でも、現実に折戸さんが私の部屋にいて、小林さんに余裕たっぷりで穏やかな微笑みを湛えたまま。


「久しぶりだな。蒼空。元気にしてたか?」

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