白と黒、そして白濁
4章 事件

鈴蘭は私の肩を片時も離さず、川辺の古びたテントまで歩いた。
テントは結構広いが少し暗く、たくさんの男性が私を好奇の目で見た。

グッと私の肩を抱く鈴蘭の手に力が入る。
なんだろう?少しドキっとする。

たくさんの男性はひそひそ話しを始めた。
うわっ。なんかここ、すごく怪しいところじゃない!?

私は心配になって、鈴蘭の顔を見上げた。
鈴蘭はすごく綺麗にニコッと笑うだけで、何も話そうとしない。

心配だわ。心配すぎるわ。

前に進んで行くと、水晶を見て、頭に透明な紫色の布を被っている女性を見つけた。椅子の上で脚を組んで、こちらを眺めている。

「よお、久しぶりだな某(なにがし)。おまえの腕を買って、客を連れてきたぜ」

「ふんっ、どの口がものを言うか。おまえからの依頼だったら追い返しているところだよ」
その声音は怒気を含んでいる。
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